9月 27

 ひさびさに音楽podcastの紹介を。自分がリピートして愛聴している音楽podcastは実は4つしかありません。まずは以前も紹介したGilles Peterson’s Worldwide Podcast(王道!)。随一のクオリティと懐の広さを誇るStones Throw Podcast(RareGroove, Soul, Funk, Jazz, Underground Hiphop好きにはたまらない)。あとはここでは紹介していませんがあまりに有名なMercedes Benz Podcast(Lounge系の音楽好きにはたまらない。ドライブする際に流したい主張しすぎないElectro/Jazz系の音楽中心)。そして今回紹介する、Soulsearching Podcast

 フューチャージャズを代表するレーベルCompost Recordsに所属するアーティスト、Michael Ruttenがホストのこのpodcastは、まちがいなく素晴らしい。ジャズもハウスもエレクトロニカもソウルも、最先端の曲から古典的なレア曲まで幅広く、毎回2時間のpodcast。基本的にMichael Ruttenがミックスしているんですが、たまに途中からゲストのミックスが入る回があって、そのゲストがたとえば” Quantic, Maurice Fulton, Nicola Conte, Mr. Scruff, John Kong, Ame, Beanfield, Makossa & Sugar B, Jazzanova, Rainer Truby, Ben Mono, London Elektricity and Carl Craig”と実にいい感じのメンツ。毎回趣向がちがって奥深いけれど、個人的にはsoulsearching_549の”all about analog africa”という特集でアフリカのレア音源をざっくり聴けたので大満足です。そもそもこのpodcastのコンセプトは”Jazz is the teacher,soul is the preacher(Jazzが先生、Soulが伝道者)”だそうな。系統的にはGillesのpodcastに近いんですが、それよりもややElectro系の要素が強いかなという印象。Gillesのよりも濃いですね。掘れば掘るほど味が出てくるし、レアな曲もガンガン聴かせてくれる。ジャイルズのがセレクトショップだとすれば、これは古着屋。どこまでも掘っていく楽しさがある。MCがほとんど入っていない点は音楽podcastとして実に素晴らしいですね。難点はダウンロードに時間がかかるところ。このRSSのリンクをiTunesにドラッグ&ドロップすれば登録完了です。毒にも薬にもならない音楽を垂れ流すネットラジオを聴くくらいならば、ぜひこのSoulsearching Podcastをお試しあれ!

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9月 27

R0020948
Ricoh GX100 / Enoshima / Kanagawa.

 目新しさも、深い洞察も、血肉沸き踊るような興奮もないお話なのですが、秋が夏を喰いはじめた9月中旬、江ノ電沿線を藤沢~鎌倉まで踏破してみたので、忘却に埋まる前に日記を残しておきます。東京圏の人にとってこれは本当におすすめできる散歩コース!もちろん「散歩コース」と呼べる定番ルートなどなく、江ノ電の線路を軸に据え、右に左に、街をどのようにかき分けて歩をすすめるのかは、あなたと、おそらくあなたと一緒に散歩する誰かさんの感性次第なのでしょうけれども。お金も時間も必要ない、下調べもせず地図も持たず、ただ歩くというそれだけのことで、散歩の醍醐味を満喫できます。いいじゃないですか湘南歩き。「そうだ京都へ行こう」というJR東海のCMにベタに「いいなぁ」と思ってしまうその愚直な気持ちを胸に、線路沿いを歩いてみたとある記録です。いわゆる「江ノ電」というものになんとなく興味がある人にとっては味わい深いと思います。写真中心(枚数多くて重いので注意!)。

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9月 12

DSC_3180
Nikon D40 / Kyoto.

 パソコンで使えるポップアップ辞書環境についての続報です。以前記事を書いたように、かつてはDokopop+PDICを愛用していたけれど、Firefox3ではDokopopが使えないため、Fast Look up Alcに移行したという話を前回書きました。しかし、辞書を引くためにいちいち単語を選択反転させなければならないのは煩わしく萎えてしまうので、Fast Look up Alcはほぼ利用しなくなりました。あれからいろいろと試行錯誤した結果、現在自分はこのようなポップアップ辞書環境に落ち着いています。1.Firefox3で利用する場合、2.PDFファイルを読むときに利用する場合という二つのケースを想定し、Dokopop+PDIC、Mouseover Dictionary、Babylon、Lingoesという4つの手軽に利用できるポップアップ辞書ソフトをあらためて試してみました。

 そしてこのエントリーの主眼は、Lingoesというソフトの使い方を突っ込んで解説してみることです。Lingoesは尋常じゃないよ!ついにポップアップ辞書の最終形態にたどり着きました。面倒くさがり屋さんは一気にLingoesの項へ進んでください。本日一般公開されたDropboxは超絶便利なオンラインストレージサービスですが(これはオススメ)、それに負けず劣らず使い勝手の良い辞書ソフト(LingoesはFirefoxを使ってない人でも使える単体型辞書ソフトです。でもWindowsのみ)。Lingoesで英辞郎使えます。

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8月 29

flower

Nikon D40 / Nikotama.

 「Muxtape聴けないんですけれど」というメールをいただいたので、記事を起こしておきます。以前の記事でmixを公開した際に利用していたMuxtapeというサービスは、もう長い間停止されています。RIAAという米国の音楽業界団体から圧力を受けたそうな。おそらく復活しないでしょうし、復活したとしても以前のような形で戻ってくることはないでしょう。そこでポストmuxtapeについて簡単に。ひとつは、8tracks.comというmuxtapeに似たサイト。8tracks.comについての詳しい解説はこちらのサイトへ。自分もアカウントを作って試してみたんですが、微妙だなぁという印象。曲順を自分で指定できないのが致命的。選曲の楽しさは曲順選びに負うところが大きいので、ただ手持ちの音楽を垂れ流すだけ…という寂しいサービスだなと感じた。さらに、このサイトも半年と持たないでしょう。

 もうひとつは、Opentapeというmuxtapeクローンなオープンソースをダウンロードして自分のサーバーにインストールする方法。Apache 1.xとPHP5以上の環境であれば動作するようです。自分も早速インストールして試してみたんですが、まさにmuxtapeとうり二つ。外国のニュースサイトには、「個人がそれぞれ自分のサーバーにOpentapeをインストールして使うようになると、RIAAが叩くべき対象が無数に分散化してしまい、RIAAの頭痛はかえって酷くなるだろう」的なことが書かれていますが(参照)、法的リスクとサーバーの負荷を引き受ける覚悟があるならば、試す価値があるんじゃないでしょうか。自分のOpentapeをブログで公開するかどうか逡巡したのですが、期間限定、かつこれが最後ということで、ひっそりと2つ公開しておきます。

 ★09/29追記 音楽的な「濃さ」を捨てて完全に「気持ち良さ」に振ったJazzy House編.Jazz→Jazzy House→節操のない甘メロHouse→Bill Evans.Break Beats編は、重低音をガンガンに効かして、(ハウスの四つ打ちとは異なる)とにかく変則的で骨太なリズムとビートを満喫してください。前半はFunk中心、中盤はDubなどの「煙たい」感じ、後半は爽やかなHouseになっていきます。Stones Throw Records中心のアッパーなミックスです。 他方,Jazz編は相変わらず70年代のSpirituralモノを中心に、ジャズ好きでも滅多に聴くことはないだろうと思われるレア曲で構成してみました。4曲目、Gene Russellが演奏した”My Favorite Things”の格好良さ、10曲目、チベット仏教の奥行きあるお経の調べは必聴。夏が過ぎゆく寂しさに打ち拉がれているので、選曲はやや下向きです。今回は選曲をあまり「気持ちよさ」に振っていないので、聴き手を選ぶとは思いますが。とにかく、ほかに面白いサービスがあれば、ぜひぜひ教えてやってくださいね。

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7月 19

direct communication#2
Ricoh GX100 / Azabu / Tokyo.

 むかし講談社のエントリーシートを書いていたときのこと。おぼろげな記憶だけれども、たしかこんな設問があった。「あなたが人生で一番笑った瞬間はどんなときでしたか?わたしたちにも面白さが伝わるように、その経験を教えてください(800字)」。わたしたちにも面白さが伝わるように…伝わるよう…伝わ…わらわらわらわら…あれこれ頭を絞ったけれどちっとも出てきやしない。Google先生に必死でお伺いを立ててみたけれど、どの話もそんなに面白いとは思えない。そして悶絶したまま朝を迎えた。やばいな俺。人様に語ることができる笑いの経験すらないのか…。いや、それはちがう。そのとき心底こう思ったのだ。大爆笑はそれなりにしてきたけれど、状況だけを取り出してそれ自体がすごく面白いと言えるような出来事は経験していないのだな、と。誰かと一緒にいるから笑えるのだ。一緒にいるから、些細な出来事でも、笑いが笑いを呼び、結果的に大爆笑してしまうのだ。紙に書いて、その状況を共有していない他者に伝えようとすれば、あまりにつまらなくなってしまう。たとえば、「健太がスーツを着て馬のかぶりものを付けて渋谷の路上を歩いていた…そのうしろを20人で尾行した…みんながありったけ笑いだした…つられて自分も腹筋が壊れるほど笑った…」。はい、ほんとうに、つまらない。でも、もしあなたがその状況にいたならば、おそらく大爆笑していたはずだ。

 このmuxtapeの一番上の曲名をクリック・再生してみてほしい。そしてかならず、大音量で感じてほしい。笑い声を全身で浴びてほしい。それだけで、笑えてこないかい?笑い声を聴くだけで、なぜ笑えてくるのだろう?

 笑い、ってなんだろう。人はなぜ笑うのか。今日は、笑いについての疑問を、暴けるだけ暴いてみよう。笑い研究の分野では、哲学者アンリ・ベルクソンのその名もずばり『笑い』という書籍が有名だけれども、今はもう2008年(早いね!)。どうせなら科学の力を借りよう。スティーブン・ピンカー著『心の仕組み 下巻』を利用する?いや、ピンカーさんを参照するのは、どことなく安易な感じがする。これは本職の研究者の論文を読むしかないでしょう。というわけで、笑いに関する最新のreview論文を探してみた。あった。Gervais, M. and D. S. Wilson (2005). “THE EVOLUTION AND FUNCTIONS OF LAUGHTER AND HUMOR: A SYNTHETIC APPROACH.” Quarterly Review of Biology 80(4): 395-430.link to PubMed)。どうやら進化生物学の論文のようだ。今日はなるべく簡潔にいこう。

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7月 03

fusion
Ricoh GX100/ Roppongi / Tokyo.

 『まぐれ』という今春にヒットした一冊の書評。すでに読まれた方も多いと思うので、内容紹介はできるだけ簡素にとどめ、この本の主張をどう受け止めれば良いのか?という自説を中心に書きます。この本を読んで「人間ってダメだな」と思う必要はかならずしもない、という主張を。元ディーラー、現在は不確実性を研究する大学教授である著者が綴った本書の副題は、「投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」。もちろん自分も投資関係の本として読み始めたわけですが、途中から「これは投資についでの本ではないぞ」と気づくことになった(だからあえて”Investment”タグはつけない)。本書は一級の人生論(人生を啓蒙するサイエンスエッセイ)として読むのが正しい。「投資」というテーマは、著者が議論を展開する上でのあくまでケース(事例)にすぎない(だから純投資的な興味から読むと歯がゆい思いをするはず)。とにかく、極めて密度が濃いので、投資に興味のない人でも十分楽しんで読むことができると思う。というか、この手のハナシに馴染んでいない人は、必読。『ヤバい経済学』なんかよりも圧倒的に面白い。

 本書の中身をごく簡単に要約しよう。1.人間は、たまたま生じた出来事(ノイズ=まぐれ)に対し、過剰に意味(シグナル)を見出してしまう認知のクセを持っている。2.つまり人間は、世の中で生じる出来事の因果関係を、自分たちが思っている以上に誤って把握している(「運を実力と勘違いする」)。だが、そのことに気づかない。3.なぜなら人間は、多くの場合、論理的思考モードではなく感情的思考モードによって日々の意志決定をこなしているから。また、意識的に論理モードを駆動させようとしても、無意識的な感情モードの割り込みを抑え込むことは難しいから(参照:「論理的思考は異常な状態」「思考の二重処理仮説」)。

 もちろん、こう要約してしまえば、「ありきたりな行動経済学の本か」「ありきたりな認知心理学の本か」となってしまうわけだけれども、この本の特筆すべき点は、人間の論理的思考モードが感情的思考モードに犯される様子を、感情的思考モードに訴えかける鮮やかな「物語」として綴っているところ。つまり、平板な教科書的記述が(人間に弱い影響力しか与えない)論理的思考モードに訴えかけるものであるのに対して、この本は(人間に強い影響力を与える)感情的思考モードをターゲットとして<論理/感情>の齟齬のお話を展開しているのです。この点がとても素晴らしい。さて、以下にもう少し細かく本書の内容を紹介したうえで、自説の展開に入っていこう。

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