Deep Innerworld Mix Disc Guide
昨日公開した現代音楽・クラシック・ロック・ジャズ・民族音楽から精神世界系の深い音をcomp.した「Deep Innerworld Mix」の評判が一部で良いみたいなので、ちょっとだけディスクガイドを書いておきますね。それぞれのアーティストについて別曲のYoutube演奏動画も貼り付けておいたので世界が広がると思います。もちろん、Sigur Rosのレア曲についての情報も。(聴きやすく爽やかでアッパーな音が欲しい人は「Jazz/House Upper Mix」をどうぞ)
1. Gekkoh / Susumu Yokota
Susumu Yokotaは1992年にデビューした日本人アーティスト。もともとはテクノハウス系のアーティストとしてスタートしたけれど、作品を作るたびに音世界が変わっていき、最近はエレクトロニカやアンビエント系の作品が多いみたいです。クラシックや現代音楽にとても近い位置にいるなという印象を個人的に持っていて、独特の世界観をいつも垣間見せてくれる大好きなアーティスト。緊張感とゆるやかさのバランス感覚がとても優れている。この”Gekkoh”という曲はSakuraというアルバム所収。ジャケットがとても可愛いらしいですね。
Leaf (2000-09-11)
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スキン・トーンのヨコタ
Susumu Yokota ‘Kaiten Mokuba’
2. Lichterloh / Kammerflimmer Kollektief
Kammerflimmer Kollektief(カマーフリマー・コレクティーフ)は、ドイツ・ミュンヘンの6人組音響ジャズ/ポストロックバンド。薄暗くどんよりした、それでいてひとつひとつの音の粒がきらつく世界をいつも映してくれるんですが、Sigur RosとかMum好きな人がややジャズ志向を強めたときに聴くと本当にハマると思います。このLichterlohという曲は音響ジャズの名盤、Abscen所収。おすすめです。
Staubgold Germany (2005-03-22)
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深い深い心の森へ
That’s How The Light Gets In – Kammerflimmer Kollektief
3. Sanctus / Jan Garbarek & The Hillard Ensemble
Jan Garbarekはノルウエー出身のサックス奏者で、キース・ジャレットも所属するあのドイツの名門レーベルECMのトップアーティストの一人。こちらのサイトに詳しい情報が書かれています。北欧的でストイックな音はとにかく美しい。このSanctusという曲が収録されているOfficiumというアルバムはThe Hilliard Ensembleとの共演作なのですが、グレゴリオ聖歌が題材になっているそうです。このアルバムはとにかく美しい!グレゴリオ聖歌とサックスの組み合わせにもう戦慄するしかない。クラシックとジャズが完璧に融合した音ですね。クラシック好きの人もぜひ一度聴いてみてください。目眩を起こしてしまう、奇跡のような1枚。
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「音の光ー眼前の闇」そのままの世界
Silence – Jan Garbarek,Egberto Gismonti,Charlie Haden
4. Slide / Meredith Monk
同じくECMに所属するメレディス・モンクは、以前書いたとおり、歌手、作曲家、映画監督、舞踊家、指揮者、振付師など多彩な顔を持つマルチ・アーティスト。声の楽器としての可能性を極限まで追求しています。ジャンルでいえば現代音楽。彼女のもっとも有名なアルバムは前回紹介した”Dolmen Music”でしょうけれど、このSlideという曲が収められているOur Lady of Lateというアルバムも実に素晴らしい。彼女の中ではこれら2枚がとくに好きですね。とにかく神々しいアルバムで、自分は思わず泣いてしまった。下の動画はすごく興味深い。必見です。
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Meredith Monk Documentary
5. Go Down Moses / Larry Ridley
Larry Ridleyは1937年アメリカ生まれのジャズ・ベーシスト。スピリチャル・ジャズ好きにはおなじみのStrata Eastというレーベルにも所属していました。このGo Down Mosesという曲はSum of the Partsという60年代のアルバムに収録されていますが、Amazonでの取り扱いはないみたいですね。
Manhã de Carnaval – Samba de Orfeo
6. Starsailor / Tim Buckley
Tim Buckley(ティム・バックリィ;1947-1975)は類い希なるの歌声を持ったアメリカのロック・ヴォーカリスト。彼はわずか28歳でその生涯を終えたのだけれども、U2のBonoは「ジェフ・バックリィはノイズの海の中の濁りのないひとしずくだった」と述べ彼を追悼したそうな(参照)。異彩を放つこのStarsailorという曲は同名のアルバムに収録されています。誰も真似できない独自の世界観を見せてくれるロックの名盤だと思う。レンタル屋で見つけたらマスト・レンタルですよ、これは。
Warner Bros. (1991-11-05)
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Tim Buckley – Song To The Siren subtítulos en castellano
7. ウララ(ソロモン諸島マライタ島) / La Voix De Globe
YMOの細野晴臣が世界中の民族音楽をコンパイルしたアルバム「地球の声」(La Voix de Globe)所収。約20年前に通販で8枚セットが販売されていたようです(参照)。かなり素晴らしいセレクトなのでレンタル屋で見つけたらぜひ借りてみてください。Janisにはもちろん置いてあります。
8. Offering the Mandala to Compassion / 7 Hundred Years Of Music In Tibet
チベットの民族音楽をコンパイルした7 Hundred Years Of Music In Tibetというアルバム所収。このアルバムは安価な割に実にセレクトがいい!読経そのものから読経ではないチベット音楽まで、幅広く扱われています。というか、このアルバムを聴けば、お経は音楽そのものであることに気がつくと思います。日常の音楽からいかにお経というフォーマットが立ち上がっていったのか、その段階的な流れを、このアルバムを聴いてぜひ確かめてみてください。おすすめ。
Legacy (1997-12-24)
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Overtone Orchestra: Improv with Hang and Singing Bowls
9. Prayer / Keith Jarrett
Keith Jarrett(キース・ジャレット)のDeath and Flower(生と死の幻想)というアルバム所収。大御所ジャズピアニストのキース・ジャレットですが、色々手がけています。ソロ・ピアニストとしてクラシックとジャズが組み合わさった甘美なメロディを即興演奏で弾くキース、トリオによるスタンダード演奏を美しく聴かせてくれるキースも大好きですが、個人的に一番好きなのがサックスを加えたカルテット演奏で精神的にディープな音を聴かせるキース(アメリカン・カルテットというグループ名)。この『生と死の幻想』は1974年録音。民族音楽的な土が薫る空気感の中で死のエロスが輻輳していく。本当に名盤。死ぬまで聴くと思う。同じくアメリカン・カルテットのアルバムとして『残氓』(ざんぼう;The Survivor’s Suite)も超オススメです。こちらもかなり深い。キースに興味がある方はまずこちらのディスクガイドに当たってみるのが良いでしょう。
ユニバーサル ミュージック クラシック (2003-04-23)
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神秘性と緊張感が全編に漂っています
未来に向けて羽ばたく音楽。本当にかっこいいです
楽想は従前の延長。しかし驚異の集中力が生んだ名盤
今のキースからは聴けない哲学
この作品をききつづけて23年
ポリドール (1999-09-15)
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やさしさ
もの凄い緊張感
実験的だが楽しい・・・
Keith Jarret playing. Footage from “Keith Jarrett: Last Solo”. Tokyo ’84 Encore.(これが即興演奏とは…)
Keith Jarrett – TOKYO SOLO 「Part 2d」(泣ける)
10. Óðin’s Raven Magic Chapter 2 / Sigur Ros
みんな大好きアイスランド発のポストロックバンドSigur Ros(シガー・ロス)ですが、Hilmar Orn Hilmarssonという作曲家と組んだこの曲はCDとして発売されていません。2002年に下の動画のような形で演奏されたみたいですね。精神的に深いクラシック寄りの音。個人的にSigur Rosを評価するきっかけになった曲です。Óðin’s Raven Magic Chapterは1~7まで7曲あり、音源はここで手に入れるしかなさそうですね。
11. Vissi D’arte (Puccini) / Kiri te Kanawa
Kiri te Kanawaは1944年ニュージーランド生まれのソプラノ歌手。彼女はマオリ族(という少数民族)の精神的象徴ともいえる存在になっているそうな。プッチーニの名曲Vissi d’arte, vissi d’amore(歌に生き、恋に生き)を彼女が歌ったこのバージョンは大好きです。
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Dame Kiri Te Kanawa & Ileana Cotrubas sing “Sull’aria” from Mozart’s “Le Nozze di Figaro.
さて、いかがでしたか?次に音楽関係の記事を書く際には「YoutubeでたどるClub Jazzの歴史(入門編)」を予定しているのでお楽しみに!
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10月 5th, 2008 at 4:29:08
Genさん、お久しぶりです。
久しぶりすぎてGenさんが幻のように思えてましたが、
最新のブログを読んで、
ちゃんと実在するんだとほっとしました。
音楽と性についての記事だけ読んでみました。
相変わらずJAZZ初心者ですので参考にしてみます。
10月 5th, 2008 at 7:36:53
おぉえりてぃん!
会わずじまいのままtinの存在が自分のなかでも幻になっていましたよ。びっくり。
クラブジャズ入門を力入れて書いたのでぜひそれも読んでみてくださいなー。
そのうちぜひ!飲もうね。ぜひ。