1月 08


Barach Obama

 周回遅れのネタですが。アメリカの大統領選挙。アイオワコーカスが終了し、民主党の1位はバラク・オバマ(ヒラリー・クリントンは3位)、共和党の1位はマイク・ハッカビーになりました。上に貼ったObamaのスピーチはたしかに騒がれている通り歴史に残る伝説的な雰囲気を有していますねぇ。一聴の価値あり(プレゼンの参考にもなるよ!)。オバマとヒラリーのスピーチの差を見事に分析しているのはこの記事ですが、個人的にブックメーカーにお金を賭けるなら、やはりオバマに賭けますね。共和党よりは民主党、ヒラリーよりはオバマ、と予想。ヒラリーの金まみれの物量TVCM攻撃を、Youtube(ネットの世界)と地道な活動をベースに戦うオバマがかわすことができるのではないか。

 さて、専門家の予想よりも大衆の集合知的な予測の方が当たる確率が高いこと、そして集合知的な予測は予測市場(prediction market)に集まってくることを指摘したのはEconomistのこの記事(”The future of futurology”;未来学の未来)ですが、その記事に少し触れつつ、アメリカ大統領選挙の予測市場が現時点でどうなっているのか、のぞいてみましょう。

 インターネットのおかげで、知性豊かな人は、かつては旅行やネットワークや調査アシスタントや権力へのコネクションがなければ得ることの出来なかった情報を、集めることができるようになった。だから、“The Wisdom of Crowds”という書物が流行するような時代がやってきた。今日、もっとも注意深い未来予想者は、個人ではなく、予測市場だ。そこでは、多くの人間が行う情報に基づいた推測が、ひとつの確率に整理統合される。

 なーんてEconomist誌は述べていますが、日本ではなじみのうすい予測市場とは、仮想的な市場取引から抽出した情報を用いてある事柄に対する将来予測を行う手法のこと。アメリカでは比較的ポピュラーなようですが、日本では唯一はてなが予測市場を運営している。株式市場はある企業の将来を予測し合う場所ですが、予測市場はそれに似ていて、あらゆる事柄の将来を極めてリアリスティックに予測しあう場所。

 未来のビジョンを打ち出さなければならないとき、優秀な1個人(専門家)が必要とされる。しかし、将来ある事象が生じる確率を予測しなければならないとき、専門家はそれほど役立たない。専門家よりも集合知的なマーケットの方が、高確率で優秀な(当たる確率の高い)予測をはじき出す。たとえば、1年後の世界経済を予測するとき、かのクルーグマン教授ですら、株式市場には多くの場合かなわないだろう。多数の人間が、それぞれの情報と知性を持ち寄って、それぞれのお金を賭けて(利己心に基づき)未来を推測しあう市場は、極めて優秀な予測を出してくる。

 現在、予測市場は株式市場ほどメジャーではない(参加者がそれほど多くない=効率的ではない)。だから、予測市場がはじき出す予測結果の信憑性は([未来を織り込む]株価に比べれば)低くなってしまいますが、それでも、予測市場を注意して見ておく価値はある。予測市場について興味のある方は、日本語で書かれたこのサイトをどうぞ。話が長くなりましたが、以下にいくつか貼り付け。


© NewsFutures
民主党が大統領選挙を制する見込みは現時点で65%


© NewsFutures
歴史的なスピーチを行ったObamaが民主党の予備選挙を勝ち抜く確率は65%

というわけで、予測市場的にも、アメリカ初の黒い大統領、バラク・オバマの誕生を予想していることがわかります(ただし、チャート[グラフ]的に急騰しているので、株式投資と同じく、今後下落する可能性も高いとはいえる)。ちなみに、アイオワコーカスで1位を獲得したマイク・ハッカビーが共和党の予備選挙を勝ち抜く確率は、19%と寂しいかぎり(下図参照)。予測市場は(予備選挙を勝ち抜く)共和党の本命をJohn McCain(39%)、Rudolph Giuliani(32%)だと予想しているようです。


© NewsFutures
マイク・ハッカビーが共和党の予備選挙を勝ち抜く確率は19%

 予測市場はいろいろと使い勝手があるので、集合知的な考え方に魅力を感じる方は、ぜひ色々と参考にしてみてくださいな。近い将来、予測市場が、株式市場並みに参加者を増やし効率性の高いマーケットへと成長することを、切に願いたいと思う。

 アメリカの大統領選挙の焦点はまちがいなくひとつのキーワード、”Change!”に集約されています。初の黒人大統領誕生の期待は大きい。個人的にもオバマを応援したいな。F1のマクラーレンのハミルトンに似ているところがすこし嫌だけれども…。最後に、マイク・ハッカビーとヒラリー・クリントンのスピーチを貼り付けつつ(ヒラリーは酷いな…)、それでは。

【追記註】 引用したNewsFuturesという予測市場はリアルなお金ではなく仮想通貨を用いたものであるようです。自分の思い違いですみません。なお、こんな論文もあるようなので、付記しておきます。”驚くべきことに、仮想通貨を用いた予測市場は現実通貨を用いた市場と比べても遜色ないとの結果が得られた。この結果から、現実通貨による予測市場は情報の「発見」への動機付けにおいて優れており、一方仮想通貨による予測市場はより効率的な情報の「集約」において優れているのではないか、との推論が成り立つ”(参照)。

【追記註2】 文中で株式市場と予測市場を似たものであるとしたが、両者には決定的な違いがひとつある。株式市場ではインサイダー取引が禁止されるなど、公正な取引(競争)を保つためにいろいろと制限事項がある。しかし、予測市場の参加者に制限を課すのはナンセンスだ。予測市場は、集合知を活用し、未来予測の確率を高めるために存在するはずなのに、(インサイダー情報を持っている)特別な事情通が将来予測に参加できないならば、将来予測の精度自体が落ちてしまうからだ。この難題はどう解消されるのだろう。というか、おそらく、この難題が存在するため、予測市場でリアルマネーを取引することは難しいのだろう。


Mike Huckabee(共和党1位)


Hillary Clinton(民主党3位)


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