1月 01

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。もう平成20年ですか…ひたすら辛いなぁ…って、さて。新年に相応しい素敵な音楽を紹介しようと思っていたんですが、ベタなのでこれまであえて言及を避けてきた、スティーヴ・ライヒのこのアルバムに触れざるをえないですね。ジャンルはクラシックと現代音楽の中間領域で、レーベルはおなじみのECM。昔ながらのクラシック音楽から一歩踏み出して、「ハイソ」な現代音楽に触れてみたいと考えている人にとっては、最良の入り口となる一枚でしょう。これ、大好き。最後にYoutubeあり。

 スティーヴ・ライヒ(Steve Reich, 1936年10月3日 – )は、ミニマルミュージックを代表するアメリカの作曲家で、ドイツ系ユダヤ人です(参照)。子供の頃はポップ音楽、10代ではマイルス・デイビスやチャーリー・パーカーに親しみ、ジュリアード音楽院へ入学し、アートナル(無調)・12音階・フリージャズの洗礼を受けた後、バリの音楽の影響を受けたそう(Amazon参照)。

 このアルバムでは、18人のアンサンブルが延々と奏でられる。バリの原住民が繰り広げるケチャの世界を現代音楽として解釈したともいえる。だが、なぜ年初にあえてこのアルバムを取り上げたのかといえば、それはこのアルバムが螺旋(らせん)の世界をもっとも巧みに体現していると感じるからだ。毎日朝昼晩が訪れ、毎年春夏秋冬がやってくる。世界は似た繰り返しを演じており、循環が本質であるかのようだ。だがしかし、どの朝も同じ朝ではなく、どの冬も同じ冬ではない。ある朝には雨が雪を容赦なく溶かすだろうし、別の朝には太陽が小鳥を優しく撫でるだろう。同じ循環を演じているようで、しかし実は(循環のなかで)徐々に意味あいが更新されていくのが、世界の道理というものだ。スティーヴ・ライヒのこのアルバムは、その道理を冷徹に肉体化している。繰り返すものと、繰り返すなかで少しずつ変化してゆくもの。既視感と期待感が相混じった元旦にこのアルバムを聴けば、胸のつかえがスッと解けてゆくのを感じることだろう。音楽好きを自認するならば、一度は必ず聴いておくべきアルバムだ。超おすすめ。★★★★★+★★★


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3 Responses to “Music for 18 Musicians / Steve Reich”

  1. aoi Says:

    昔 アール・ヴィヴァンに通っていたときの心持を思い出しました。
    なんか辛いとき、現象としての音に感情が濾過されていくような
    諦念とも違う、別の解決法があったのだと気づかされるような・・
    久しぶりです

  2. Gen Says:

    aoiさん、お久しぶりです?(昔コメントを下さっていたaoiさんですか?)

    アール・ヴィヴァン、今は亡き美術書店のアール・ヴィヴァンでしょうか。
    「現象としての音」、たしかに、まさにそんな感じです。
    音が特別なものではなくこの世の壁に成り果てるというか…
    その壁に向けて感情のソナーを放ち、壁にぶつかって反響する螺旋の反復から自分自身の場所を定位していけるのだと思います。

    #携帯のアドレスをネットに公開すると迷惑メールが酷いことになると思いますので、お節介ながら、消しておきました。

  3. aoi Says:

    ああ、すみませんでした。非公開だと思っていました。
    そうです、ご記憶にあったとは嬉しいです。genさんもお元気で何よりです。

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