3月 25
そぞろ歩きでふと行き当たる邸宅が魅力的だったならば…。頬緩みっぱ間違いなしの思いがけぬ至福に出逢った建築を紹介せずにはいられない。旧安田楠雄(やすだくすお)邸。デートプランに行き詰まったマンネリカップルが一通り今っぽいデートを終えた先頭あたりで訪れる場所、谷根千。仕事にすべてを捧げない人間にとってのある種の心の安らぎを提供してくれるかのような幻想を振りまくアジール、谷根千。谷根千とは東京の下町として有名な文京区から台東区一帯の谷中・根津・千駄木周辺地区のことなのだけれども、その谷根千の一角、千駄木に旧安田楠雄邸はある。谷根千を訪れた際ここに寄らない手はない。かつて哲学者の九鬼周造は縦縞が【いき】だと言った(おかしく抜き出した記事)。そう、ここは、近代日本の意気(いき)という精神、そして旧安田楠雄邸という建築に生き甲斐のある部分を賭ける今を生きる人たちの”縦縞の人生模様”が浮かんでくる場所なのだ。ボランティアで案内役をつとめている快活な女性は上の写真の場所を案内しながらこう言った――「そうね、これが日本初のシステムキッチンと言われているものなの!」
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